ウイスキーを知る

      2016/11/18

こちらではウイスキーができるまでの製造工程を記載していきたいと思います。
何故今更かと言いますと、私自身がまだまだ理解していない部分もありますので、復習の意味を込めております。
それから、ウイスキーに興味を持ったばかりの方でも、こんな風にウイスキーは作られているんだなぁ・・・と少しでも知って頂くきっかけになればと思った次第です。

ウイスキーって何?どうやって造られるの?

ウイスキーができるまでの工程としては、大まかに言いますと
「原料の準備」→「糖化と発酵」→「蒸溜」→「熟成(貯蔵)」→「ブレンド」
というような工程を経て、ウイスキーができあがります。

では、次からは工程ごとの少々細かい説明をさせていただきますね。
※なお、各製造工程の画像については、サントリー山崎蒸溜所にて撮影したものを利用しておりますので、山崎蒸溜所へ行かれた際はぜひ実物をご覧頂ければと思います。本当に細部まで良く出来た素晴らしいミニチュアだと思います。

原料について

ウイスキー造りに必要な原料としては二つになります。

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1.麦

原料とされる大麦は、ウイスキーの原料として最適とされる二条大麦(モルト)を製麦します。
酵母だけでは、大麦から採取される澱粉をアルコールに変化させる事ができません。
その為、「糖化」という工程が必要になります。
そして、その前に「糖化」させる為の、酵素を大麦自身から発生させる為に、大麦を発芽させた上で乾燥し麦芽として準備をします。

2.仕込み水

ウイスキーも当然ながら水を使います。
その水としての品質が、ウイスキーの味を左右する大きな要素である事は確かですね。
通常の飲み水として美味しく、ミネラル等の成分がバランス良く含まれている事が求められます。

グレンリベットでは、グレンリベットウォーターとして市販されている程です。
それ程までに、水に対しても品質を維持する必要があります。

糖化と発酵について

ここから「大麦」と「水」を使った仕込みが始まります。

糖化について

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先程の製麦で作った乾燥した麦芽を糖化槽に投入します。
更にその糖化槽に60℃程度の温水(仕込み水)を加えて、よく攪拌します。
すると、麦芽の中の酵素の活動が活性化され、大麦の澱粉を糖分に変化させていきます。

そして濾過を経て、糖化液を生成し発酵に備えます。

発酵について

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先程の糖化液を発酵槽に投入します。
その発酵槽に投入した糖化液に酵母を投入し、さらにスムーズな発酵を促します。
酵母の働きにより、糖化液が分解されていきビールの様なアルコールを保有する液体、発酵液(これが「もろみ」と言われるものです)を生成します。

その後、約60~70時間程度は発酵をさせる時間となります。
この時点のアルコール分は7~8%前後で、まさにビールそのものという感じですね。

蒸溜について

いよいよ「ウイスキー」が生まれてきます

先程の発酵液をポットスチルと呼ばれる単式蒸溜器を使って、二度蒸溜されます。
この二度の蒸溜をする事で、貯蔵前のウイスキー「ニューポット」を取り出します。
※ちなみにサントリー山崎蒸溜所では、この「ニューポット」も試飲できます。

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一回目の蒸溜では、アルコール分20%程度の液体が蒸溜されます。
20%程度という事は、アルコールトワイスアップにした40%のウイスキーですね。

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そして更に二回目の蒸溜を行う事で、アルコール分60~70%程度の液体を取り出す事ができます。これが貯蔵前のニューポットと言われる、生まれたばかりのウイスキーというわけです。

何故蒸溜すればアルコール分が高くなるの?

この蒸溜という工程で、ウイスキーとしての成分を取り出す事が出来るのは何故か?というと、水とアルコールの沸点の差を利用したものです。
1気圧の元での水の沸点は、100℃ですよね。同じく1気圧でのアルコールの沸点が、80℃程度です。

・・・という事は、80℃まで温度を上昇させる事で、アルコール分と香気成分のみを蒸気として取り出す事ができますよね。
更に、それを冷却する事で再度液体に戻し、その工程を二度繰り返すことで、アルコール分が高い無色透明な「ニューポット」を取り出す事が出来ます。

熟成(貯蔵)について

ニューポットを樽で熟成していきます

先程のポットスチルで取り出した「ニューポット」が樽に詰められて、熟成の為に貯蔵庫にて寝かされる事になります。
そして、この時貯蔵された樽によって様々なウイスキーが生まれてきます。

この生まれたばかりのウイスキーであるニューポットが、貯蔵庫で気が遠くなるほどの年月をかけて熟成され、無色透明であったニューポットが素敵な琥珀色に染まっていきます。

この貯蔵に使われる樽ですが、本当に色々な種類があります。
樽材、容量、内面の焼き方により様々な香りや味を引き出すことができます。
これらの樽を貯蔵する場所や、樽の積み方、樽の周囲の温度等、樽を保管する環境の全てがウイスキーを作っていきます。

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左側が熟成初期の0年です。右側が6年熟成時点になります。
まだほんのりウイスキー色になってきたという感じですね。

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左側が12年で、右側が18年時点になります。
さすがに18年までなると、随分いい色になってきました。

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左側が25年で、右側が30年です。
この熟成年数になると、本当に深い色になります。

樽の内面を何故焼くの?

樽の内面を焼く工程を「チャー」といいます。
焼いたりすると、焦げ臭くなりそうと思いますが、この焼き焦げた部分のおかげで未熟な香り(刺激臭)を抑制してくれるという、素敵な効果があります。
またこのチャーをする事で、樽の内面にバニリンという甘い成分を生成したり、ウイスキーにとって大事な成分を作り出してくれます。

私も好きですが、最近の傾向として人気がある樽としては、シェリー酒に使われた樽を使ったシェリーカスクなんかは人気がありますよね。(カスク=樽)

ブレンドについて

ここからがブレンダーの腕の見せ所

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このブレンドという工程は本当に大変だと思います。二本と同じ中身の樽が無いにも関わらず、モルト原酒同士を組み合わせたモルトウイスキー、グレーン原酒も混ぜたブレンデッドとそれぞれに同じ香りと味を維持し続けるというのはブレンダーといえども、凄い技術ですよね。

ブレンドが終わったウイスキーを落ち着かせる為や、風味付けの為にボトリング前に再度樽で熟成させる事がありますが、これは「後熟」と呼ばれる手法です。

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以上の様な途方もない時間と労力を、惜しむ事無く注がれる事で個性を持った素晴らしい「ウイスキー」が生まれてきます。
そんな素晴らしいウイスキーに出会うことが出来た事に感謝しつつ、今後もウイスキーというものを楽しんでいきたいと思います。

このウイスキーの作り方については、ネットにはもっと分かりやすく詳しい解説等をされている方もおられると思いますので、一度検索してみて頂ければ幸いです。

大事なお時間を使って最後まで読んでいただき、ありがとうございましたっ!
よろしければ、ぜひご一緒に美味しいウイスキーを楽しんでいきましょう!d(^ー゜*)

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